「失敗すれば失敗するほど何かが生まれるように思える」


成功と失敗は根底では同じだ

むしろ失敗が成功に不可欠だ

失敗すれば失敗するほど何かが生まれるように思える

『アルベルト・ジャコメッティ - 本質を見つめる芸術家』より


http://d.hatena.ne.jp/asin/B000WMEMI2

彫刻家ジャコメッティの指が石膏や粘土といった物質から像を立ち上げてゆく過程を、「ジャコメッティの指は形而上的なものによって動かされているのではなく、触覚を中心にした身体的な記憶によって動いているということである。


そこに神や絶対性を見るのは、確かに見る者の自由ではあるが、しかし作家が感じていた具体的な手触りを見落としてはならない」とする。ここで著者が主張したいのは、ジャコメッティの指先から生まれる形は彼の記憶のなかに痕跡としてすでに存在しているのではなく、彼の指先が「粘土や石膏や紙といった物質に触れる瞬間瞬間、その場において生成してくる」という記憶の動的システムである。生成する形は突然に現れるものではない。


「身体感覚は記憶が成立するための前提条件であり、身体イメージは絶えず生成変化する記憶にとっての、基本的な枠組みとなっている。絵画や彫刻だけでなく、写真や映像芸術などあらゆる芸術創造にとって、身体感覚と記憶の動的な関係は本質的である」と言い切っている。この本(※『記憶―「創造」と「想起」の力 (講談社選書メチエ)』)と出会ったことの至福感はここに尽きる。

書評・創造への繋がり 24 『記憶―「創造」と「想起」の力 』 /評者 和田精二(湘南工科大学教授) - AXIS jiku

http://www.fr-dr.com/paris/archives/2005/02/23000819.php




http://matome.naver.jp/odai/2126524422904140201/2126524584604208003


http://matome.naver.jp/odai/2126524422904140201/2126526064405667503

 仮説なのだけど、ジャコメッティの作品は双眼立体視を使った視覚的彫刻なのではないだろうか。正面から見て奥に向かって伸びた形態は、左右の目の視差を大きくして立体感を増幅するためのものである。もしこの仮説が正しければ、ジャコメッティの彫刻は正面から見なければ成立しない極めて平面的な思考で作られた作品ということになる。

水平線と月を計ろう:アルベルト・ジャコメッティの立体視


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絵画の二十世紀 ~マチスからジャコメッティまで (NHKブックス)

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http://www.fr-dr.com/paris/archives/2005/02/23000819.php